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なぜこの本を読むことにしたのか
経済について詳しい方が本書をTwitterで勧めていたのが何か気になっていたので読んでみることに。タイトルも刺激的でインパクトが強かったのもあります。
自分も裕福とはとても言えませんが、周りになぜかお金を貯めることができず自ら貧乏になるような人たちがいます。日頃から「お金がない」とつぶやいているので、アドバイスをしたものの改善されることはありませんでした。またネットでもお金を増やせない人が多いように感じ、そういった疑問が少しでも解消されたらいいなという期待から手に取りました。
どんな本なのか
簡単に言うと、貧乏人というか貧困に苦しむ人・家族・集団・村・地域・国・世界とそれぞれの領域に分けて、なぜそれが解消されないのか、解消された場合はなぜなのかという難しい問題を実証データを提示しながら説明されていき、将来的に我々はどのようにしていけばいいのかを描いています。
世界的にも名著と呼ばれ、多くの人々に称賛されている評判の良い本です。
良かった点
人から世界への各レンジごとに発生しやすい心理や期待や欲望などが複雑に絡み合って、貧困問題を解決できていないという流れをしっかりとおさえているのが非常に興味深かった点。
データに基づかない自己啓発のような貧乏対策ではなく、データや実際に試してみたことなどを通じて、うまくいった事例やうまくいかなかった事例をしっかりと明記しているのも好感が持てました。
学者たちの説がいかに実態と剥離しているかというのは、社会的な問題としても気になっていたので、そういった点や学説の対立などもそれぞれの言い分が書いてあり、どっちがいい悪いではないという点も抑えているのは素晴らしい点だと思います。
貧乏になる、するということがどういったことで引き起こされるのかを様々な観点から知ることができた点。そういう意味ではこの本を取った目的は達成できたと言えます。
気になった点
ただし気になる点がなかったわけではありません。
何と言っても”難しい”と感じる部分が多い構成が気になりました。
・普段見慣れない用語が解説なしで使われている
・章タイトルから内容を連想できない
・訳なのか原文なのかはわかりませんが、書き方に波があり理解しにくい
また筆者の出身や実験に基づく内容がインドやアメリカ、アフリカに偏っているので、ピンとこない部分がある点が挙げられます。
読むのがつらい
読書中はとにかく途中まではスムーズに読めるけれど、突然読みづらくなって、厳しいと感じることが多い書籍でした。最近は多くの本を読んでいますが、ここまで苦戦したのは初めてかもしれません。
その原因を考えてみると以下のような理由が挙げられます。
読み物としての部分と学術的な実証的な部分が完全に分離したような書き方になっていて、そこがリズムを悪くしているというか、読んでいる側がどっちに寄ればいいのかわかっていないと車酔いのような感じになるイメージです。
どちらかというとマルチタスク的な読み方が必要な高度な本だからではないというのが結論です。
結局貧乏・貧困は解決できるの?
詳しくは本文を読んでほしいのですが、銀の弾丸はないとはっきり書いています。ただし、こうしていけば解決に向かって進むことができるのではないかという希望的観測は述べています。
満足度
★★★★★(満点)
まとめ
ここまで読むのを苦労したのは初めてだと感じたものの、読後感は非常に良いです。
また数日後になってジワジワと貧乏から脱するには、貧困問題をどうしていこうかと考えに耽ることもあったのは、やはり本書の訴えが説得力があり、具体的にどうすればいいのかを提示しているからではないかと思います。
どのレンジにおいても解決するにはまず個人の意識からという方向性が非常に良いと思いましたし、全文を通して個人が苦しい環境を抜けるにはどうすれば良いのかのメッセージがしっかりしているのも好感が持てました。
おまけ的に感じるかもしれませんが、訳された山形 浩生氏のあとがきは必見です。
もし本文が難しくてツライと感じるのであれば、「貧乏な人が改善する重要な5つの教訓」だけ読むだけでも価値はあると思います。
苦しい生活が悪循環に陥っている人、無限ループのようになって抜け出せない感覚になっている人にはぜひ読んでいただきたい1冊だと思います。
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